第2章 続 アンラッキーアイテム//緑間
断られることを覚悟した。
今日は運勢最下位なのに、こんなことを言ってしまう俺はどうかしている。
…俺は器用な方ではない。
高尾が言うような、アタックだの、近づくための小細工など出来る筈がない。
…だが、はたして俺はここで断られて諦めることなど出来るのだろうか。
岬は顔を赤し、両手で口元を押さえる仕草をする。
小さく深呼吸をすると、意を決したように俺の目を見て話す。
「私…お付き合いってしたことなくって」
「だから、付き合うって何をすればいいのかよく…わかってないの。真ちゃんの事は、カッコよくて、優しくて、不思議な人だなって思ってるんだけど」
…不思議な人?
俺は岬に目線を合わせるようにしゃがむ。
「告白を、されたことはないのか?」
「…あるけど、ほんとに興味がなかったし、告白をしてきた人とは、もうお友達でいられなくなっても、いいやって思ってたの」
「だって、告白を断ったら、話しかけてこなくなるでしょ?気まずくなっちゃって」
そうなのか…まぁ、確かに、断られたら近づきにくいと感じるかもしれない。
だがそれは、諦められれば、の話だろう。
「俺は、断られても諦めるつもりはないのだよ。俺はアタックとか、小細工は出来ないが、岬を遠ざけるつもりはない」
「…ふふっ…やっぱり真ちゃんって不思議な人だね」
岬はそう言って笑う。
あぁやっぱり…
「…俺は、岬のその笑顔に惹かれているのだよ」
そう言うと、また岬は「えっ」と顔を赤くして動揺する。
「返事は、また今度でもいいのだよ。日傘、ありがとう。俺はこれから部活に行かなくてはならない」
日傘を受け取ろうとすると、少しだけ、抵抗を感じた。
「…私、真ちゃんのこと、もっと知りたい。仲良くなりたい。…今度、部活見に行ってもいい?」
「…いいに決まっているのだよ」
「…ありがとう。部活、頑張ってね」
笑顔で手を振る岬の姿に、また胸が熱くなる。
俺は受け取った日傘を持ちながら、体育館に向かう。
おは朝占いのラッキーアイテムは偉大なのだよ…。