第3章 出会い 〜東堂編〜
次の日、私は授業が終わった瞬間に教室を飛びだし、いつものように生徒会室でも仕事をする。
(我ながら完璧だね、ホームページの作成が)
昨日のうちにホームページは更新できたので、今日のお昼は仕事がない。
「でも午後からは新入生歓迎球技大会のしおり作んなきゃいけないんだっけ」
仕事は早く終わらせるに限る! 昼休みのうちにやっておこう!
「……ということで」
生徒会室の隅っこに置いてある段ボール箱からエナジーバーを取り出す。これが私のお昼ご飯だ。箱買いすると安いし、栄養もとれるし、何せ食事に時間をかけずに済む。
エナジーバーを咥えながら仕事をしていると、生徒会室の扉がノックされる。
「ふぁーい?」
中に入ってきたのは自称美形の男、東堂君だった。
「いらっしゃい、どんな用?」
東堂君は私を見るなり眼を見開き、口をパクパクとさせながら指差してくる。
「ま、まさか、それが宮坂さんのお昼ご飯ではないよな……?」
「え、昼ご飯だけど」
「エナジーバーだけで昼飯にするとはどういうことだ?! そんなんじゃ体がもたないだろう!! いくら栄養食とはいえ、しっかりと三食食べてからの付加作用としての食事がエナジーバーなんだぞ?! 何故学校に学食というものがあるのに使わない?! だいたい、昨日も疲れで立ちくらみをしていたくらいなら、もっと健康に気を使わねばならんだろう!!」
(何だこの世話好きは)
東堂君は遠慮なくズカズカと生徒会室の奥まで入ってきて、私が手に持っているエナジーバーを取り上げる。
「飯を食いに行くぞ! 食堂まで!」
「返してよ」
「ならん、ならんよ! 日々の食事は健康の資本だ!」
この男の世話焼きと言ったら……!
「だったら仕事の一つでも手伝ってよ?! 全部1人で仕事してるんだ、特に今の時期なんて食事の時間が惜しいの! わかる?!」
しまった……強く言いすぎてしまった。
(くそっ……生徒会長として今の発言はあり得ない)
「ご、ごめんなさい。でも、本当にこの時期は時間が惜しいの」
「仕事なら手伝ってやる。放課後は部活があるが、昼休みなら手伝ってやれるぞ?」
……この美形め。みんなにもそんな優しいわけ?
「じゃあ、食堂行こ。東堂君」
少し嬉しかったよ。