第11章 女同士の
荒北の腕の中、すごい落ち着く。
「うあー……荒北ぁぁ」
自分でも意味の分からない言葉を吐いていると思う。けど、それでもいいやって思ってしまう。荒北には甘えたくなってしまうんだ。
「何で私が嫌がらせ受けなきゃいけないのさ! 私は学校の為に尽くしてきたのに! 私はみんなのこと嫌いじゃないのに! 悪いことなんてしたつもりもないのに! 自転車競技部のみんなとも、学校のみんなとも仲良くしたいのに! 何でうまくいかないんだよ、荒北のバカぁ!!!」
「おい、文脈おかしいだろうがァ! 何でおれが責められてんだよ!?」
荒北の怒鳴り声ですら心地よい。もうやだ、涙が止まらない。
そんな私のことを察してか、荒北は優しく私の髪をなでる。
「泣きたいだけ泣いちまえば楽だろ」
「……うん」
「おめーはみんなと仲良くしてぇんだろ? でも、それをほかの女子が許さない」
「……うん」
「なら、はっきりさせろ! いいか? お前は絶対に自転車競技部の誰かのことが好きだ。けど、お前の態度が曖昧だから周りが騒ぐんだろ?」
私は小さくうなずく。
東堂と新開君。
でも、答えはわかりきっている。
「荒北、私は自転車競技部のインターハイが終わったら、彼に想いを告げるよ」
私は荒北から離れ、精一杯の笑みを浮かべる。
「東堂のことが好きだって」
君は優しかった。ちょっとナルシストでうざいところもあるけど、そんなところも愛おしく感じる。伝える、絶対。
自分を隠すのは、もうやめよう。