第10章 我らの黄金週間
「わー! 先輩、水着似合ってる!!」
恥ずかしい……。
プールに着き、早速水着に着替えてみたものの……。
(男子と二人っきりで出かけるのも初めてだし、ましては水着とは……)
シンプルな黒の水着。セールだったから買ったんだけど、さすがにビキニは厳しかったか……! お腹周りのお肉がぁぁぁ!!
「見ないで真波君!! やはり私にこの水着はハードル高すぎたよ!!」
「そんなことないです! でも……」
真波君は少し気まずそうに目をそらす。
「でも?」
「あんまり肌晒して欲しくないなー……なんて」
「何言ってるの、ここはプールだよ?」
「わかってないなー先輩は! ……まあ、俺がずっと側にいれば良い話だし……やっぱり大丈夫です! 泳ぎに行きませんかー?」
「そ、そうだね!」
真波君もさすが男の子。引き締まった良い体をしている。
最初に向かったのは波のプール。一定間隔で波が起こるプールで、奥に行けば行くほど水深が深くなる。
「先輩は泳げるんですか?」
「勿論! 真波君こそ平気?」
「泳げますよ!」
真波君は気持ち良さそうに水に浸かりながら笑う。そして得意げな顔で奥の方まで泳いでいく。
「あ、待って」
私は真波君を追って奥まで泳ぐ。けれども真波君はそれ以上の速さで奥まで行ってしまう。
(真波君泳ぐの速っ)
「あ、真波く……」
手を伸ばしたら重心を崩してしまい、プールの床を探るけど既に足が届かない所まで来てしまったようで。
「んぐっ」
「先輩ッ」
真波君はようやく私の様子に気づき、私に手を伸ばす。
私は脚をバタつかせながら必死に真波君の方へ手を伸ばした。
(口に水がっ)
ようやく指先同士が触れ合ったと思ったら、一瞬で手を引かれ……
「……!」
目の前には真波君の胸板。私の背中には真波君の腕が回されている。
「ごめん、先輩。俺、はしゃぎ過ぎて先輩のことを……」
「楽しんでくれてるなら良かったよ……。私の方こそ泳げるとか言ったのに、ごめんね」
「浅い所まで戻ろうか」
「まずは波のプールだな、新開!」
「ヒュウ! そうだな! たまにはプールも良いもんだ! 行くぞ靖友ォ!!」
「野郎3人でプールかヨ……酸っぺェ……」