第10章 我らの黄金週間
次の日、私はプールバッグを持って自転車に乗る。そう、昨日もらったチケットを消費しに行くのだ。
(今日は暑いし、ゴールデンウイークだけど充分プールを楽しめるはず!)
自転車に乗っていると、前方に知ってる後ろ姿が。
アホ毛を揺らしながら白いロードレーサーを乗りこなす少年。
「あ、真波君??」
声をかけてみると、天使のような笑みを浮かべてこちらを振り返る。
「あっ! 会長ー!」
私と真波君は道の端に自転車を停める。
「会長、プール行くんですか?」
私の自転車のカゴを見たのだろう。真波君は可愛らしく首をかしげる。
「そうだよ! チケット余ってるんだけど、真波君も一緒に行く?」
「え、いいんですか? 行きますー」
まさか本当にOKされるとは思ってもみなかったよ……。
真波君はプールバッグをとってきて、私の元に戻ってきた。
「なんか、デートみたいですね」
真波君の言葉に突然私は彼を男だと意識してしまう。
(そうか、男女二人が出かけるって……デート……!)
「でも俺、先輩と出かけられて……すっげー嬉しいんです」
「わ、私も一緒に行ける人がいて嬉しい……」
真波君と会ってから、不思議と自転車を漕ぐ足が軽くなった……そんな気がした。
「靖友! プール行こうぜ!」
「ア? 嫌に決まってんだろ。せっかくのオフだしゆっくり寝てぇんだヨ」
「福がプールのチケットをくれたのだ。福は実家に帰ってしまったようだし、3人で行こうではないか!」
「ハァ?!」
「寿一からのプレゼントだ。使ってやらないと勿体ないだろ?」
「……わーったよ! 行けばいいんだろ行けば! 行ってやろうじゃねぇか!!」