第9章 会長の恋模様
私はかつてないほど動揺している。
(ど、どういうこと)
昼休み、新開君に優しく抱きしめられてから体がおかしいのだ。体が熱い、新開君を見るとさらに熱くなる。
(だって、あんなに甘い体験初めてだし……!)
東堂に抱きしめられた時は、自分の過去の話やら何やらあったからドキドキする場合じゃなかったからなあ。
「うあああ……どうしよう……」
こんな調子だと新開君とまともに話せるはずがない。
「宮坂さん? どうした?」
東堂の声がして振り返ると、そこには東堂と荒北の2人がいた。
「生徒会室が空いてねぇせいで昼寝できねぇだろうが」
「ご、ごめっ……」
荒北も私の様子がおかしいことに気がついたのか首をかしげる。
「お前、何かあったァ? 顔赤いケド」
「うむ、なんだか様子がおかしいな、熱か?」
東堂がそっと私の額に手を伸ばしてきた瞬間、私の胸が高鳴る。
(ひいいい!!)
「東堂待って無理大丈夫だからほんとに気にしないでごめんなさい!!」
心臓がもたない。東堂にまでこの始末だ。
「待て宮坂さん!! 俺が何か悪いことをしたか?!」
「東堂は何も悪くないから! 大丈夫だから!」
もうやだ泣きたい。
(お見合いの話が出てからだ、この変な感じは)
私は校舎内の女子トイレに駆け込み、鏡の前で立ち止まる。
「なんでこんな顔赤いの? なんで」
「会長?」
「え?」
横に立っていたのは文化祭でお世話になった天宮凛花さんだった。相変わらず整った顔立ちに女神のような微笑み。
「会長、どうかしたの? 顔赤いけど」
「いや、自分にもわからなくて」
「もしかして、恋?」
(恋)
(恋……?)
(恋?!)
待て複数名の男相手にこんな反応してるってことは、私はどれだけ浮気性なんだ!!
「ま、まっさかぁー……恋な訳」
「東堂君とか新開君あたりかな?」
(なんで天宮さんは勘が鋭いの?!)
私ですらもわかっていないことをズバズバ言っていく天宮さん。もう、この際彼女に色々相談したほうがいいのかもしれない。
「天宮さん、私は恋をしたことがないんです。けど、新開君や東堂に優しくされたら胸が苦しく「恋だね」恋なの?!」
私は2人の男性を同時に好きになったってこと?