第7章 東堂庵の奇跡
無意識に電話をかけていた。東堂の事情なんて考えなかったし、もしかしたら迷惑なのかもしれない。それでも、動かずにはいられなかった。
「間違えて東堂の部屋に入っちゃって……。そしたら、私と……私の家族の写真が……あったんだよ」
頭が痛い、吐き気がする。
私は口元を押さえて強く目を瞑る。
『宮坂さんと俺が、会ったことがあるというのか?』
「そう。それに……ッ」
涙が、零れ落ちる。
「死んだ母と、兄も……いるんだ」
ああ、忘れてたはずなのに。思い出したくないのに。
あの日の事故が、昨日のことのように思い出される……。