• テキストサイズ

箱根学園生徒会長でございます【弱虫ペダル】

第7章 東堂庵の奇跡


「……とまあ、ひったくりに遭ったところを東堂のお母様に助けていただき、今は東堂庵から学校に通ってるってこと。ほんと、ご家族にはお世話になっております」


簡単な経緯を説明してから東堂に頭を下げる。

「いや、そんなに頭を下げることはないだろう? 宮坂さんは一応従業員としているのだから。しかし……」
「しかし?」
「災難だったな。俺に何か手伝えることがあれば言ってくれ」

そう言って私の手を取り、まっすぐに見つめてくる東堂。その瞳は憂いを帯びており、心からの心配の色がうかがえる。

「東堂庵に泊めてもらってるだけありがたいよ。自転車まで借りちゃったし」

『あっ! 東堂くーん!』『見て! 東堂様よ!』


私の言葉は女の子たちの言葉にかき消され、東堂はあっという間に彼女達にさらわれていってしまった。
その姿をただ呆然と見ていると、私の肩にだらんと腕がのしかかる。

「あいつ、最近前にも増してモテんだヨ」
「下まつ……荒北!」
「てめぇもっぺん言ってみろゴラァ!」

なんだか荒北と絡むのも久々な気がする。相変わらず目をひん剥いて歯茎丸出しで喋っててブサイクだな!

(けど、荒北のそこが好きなんだよね)

「てか、東堂『様』って何よ」
「東堂ファンクラブってのがあるらしいぜ。女ってのは何考えてんのかわかんねーからこえーよ」
「……ファンクラブ、か」

確かに東堂はイケメンだし、面白いし、部活でも活躍している。モテて当然なのはわかっている。

「なんだか遠くなったみたいだね、東堂」
「そうかァ? ……けどまぁ、気をつけたほうが良いんじゃねぇの?」
「……どういう意味?」

「男が絡むと女はどうなるかわかんねぇからな。いくらお前が立派な生徒会長でも、ンなもん奴等には関係ねぇだろうし」

この先の話を聞きたくない。荒北の言いたいことはもうわかったから。

「東堂と絡むのは程々にしておいたほうが良いんじゃなァイ?」



てか、荒北にしてはよく気がつくものだな。



/ 67ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp