第6章 2度目の文化祭
文化祭当日、私と新開君はクラスの出し物を皆に任せ、飲み物売り場と化した生徒会室へと足を運ぶ。
「本当にごめん、新開君」
今思えば、本当に皆には申し訳ない。クラスの人手も奪い、飲み物販売を手伝ってくれる皆の時間を奪うのだから。
「だから、宮坂さんは気負い過ぎだって」
新開君は私の頭にそっと手を置く。その行為が私にとっては何故か心地良いものに感じられるのだ。
「私、ちゃんと生徒会長できてるのかな」
「できてるさ、生徒に親身になって寄り添う素晴らしい生徒会長だよ」
生徒会室に着くと、既に東堂君と天宮さんの姿が。
「遅いぞ新開!」
「早く準備しよ!」
(皆さん、ありがとうございます!)
いよいよ一般客が入り始める。事前の宣伝効果もあってか、生徒会室近くの自販機に人は流れず、ほとんどのお客さんが生徒会室に来てくれる。
「ほんとに美男美女だー!」「並ぼう並ぼう!!」
(大好評だ!)
「お茶1つくださーい」
「1本100円です!」
笑みを浮かべ、お茶を手渡すと、お客さんたちも笑顔を返してくれる。
(ちょっと楽しいかも)
新開君も東堂君も天宮さんも同じように楽しそうな顔をしてくれている。
(よかった……)
「おねーさんお茶くださいっ」
明るい声でそう言い放つ少年。髪の毛は光の反射のせいか青く見え、アホ毛がたっている可愛らしい男の子。
「1本100円です!」
彼は500円玉を渡してきたので、お釣りを渡す前にお茶を渡した。
(400円……)
すると、彼はお茶を受け取った瞬間に列を離れてしまった。
「あのっ!」
呼びかけるけど気づかない。
「東堂君! 私、お釣り届けてくるから頼んだ!」
「あ? あ、あぁ! わかった!」
私は少年を追いかけた。
「そこの君っ」
しばらく走り、少年の肩に手を乗せる。
「……?」
振り返る少年はよく見ると美少年で、東堂君と良い勝負なんじゃないのか?
「お、お釣り忘れてましたよ……?」