第6章 2度目の文化祭
夏休みの間からも準備をしていたが、もう文化祭の季節だ。夏休みが明けた今、私は仕事に追われているわけで……。
「ならんよ! 何度言えばわかるんだ! 食事くらいちゃんと摂れ宮坂さん!!」
「昔の人は朝晩の2食でやっていけたんだ、問題はないはず! 東堂君邪魔! 仕事させて!!」
パソコンにしがみついて離れない私に東堂君はお叱りの言葉を吐く。
「だいたい、何を困っているのだ? 宮坂さんは毎日何かに追われて仕事をしている」
「昨年度の文化祭の反省点を踏まえて、ね」
私は小さく溜息をつき、パソコンから離れて東堂君に向き直る。
「文化祭で飲み物の販売ってあるでしょ? あれが毎年売れ残っちゃって勿体無いからどうにかしたいの」
すると、東堂君は近くの椅子に腰掛ける。
「学校の自販機を文化祭の日だけ販売中止にすればいいんじゃないのか?」
「それが、うちに自販機を置いてる業者さんと話の折り合いがつかなくてね。あまり揉め事を起こしたくないから、『どうやったら飲み物が売れるか』ってことを考えようかと思ってて」
(変なこと相談しちゃったな……。東堂君は生徒会役員でもないのに)
自分自身の発言に後悔する。
「あー……深く考えなくていいよ、気にしないで」
そう言ってパソコンに向き合おうとしたその時、東堂君が勢いよく席を立った!
「俺を筆頭とする自転車部のイケメンが飲み物を販売すれば人が来るんじゃないのか?!」
馬鹿馬鹿しい考えはさておいて……ん?
(その考えもアリじゃない? 女子の集客は見込める。なら、文化祭前にミス箱学とミスター箱学を決めてその人達に販売を手伝ってもらえばいいんだ!!)
そうと決まれば告知の紙を出さねば!
「ナイスアイデア東堂君! 私は告知の紙を作るからご飯食べに行ってていいよ!」
「こーら、そうはいかんぞ?」
東堂君の腕が私の首に伸びる。そして、身動きできないように締め付けられた!
「ちょっ、東堂君!」
「宮坂さんは俺と飯を食いに行くんだ。作業は手伝うから」
こうなると東堂君は言うことを聞かないとわかってるから、私は逆らわないことにした。
(でも、どうしてここまで優しくしてくれるのかな)