• テキストサイズ

箱根学園生徒会長でございます【弱虫ペダル】

第5章 2年〜夏休み〜


東堂君に手を引かれ、祭り会場の中へと入る。

「うわぁ……!」

普段は狭い公園なのに祭りというだけで異常な人口密度。浴衣を着ている人も多く、なんだか風情がある。

「凄いね、東堂君!」
「宮坂さんは夏祭りに来たことないのか?」
「小さい頃しかないからさ!」

(お母さんが生きてる時、家族みんなで)

東堂君は爽やかな笑みを浮かべる。

「そうかそうか! ならば、今日は存分に楽しむといい!」

祭り会場のちょうど真ん中あたりに飾られているお神輿の隣にみんなはいた。

「福ー! 荒北! 新開! 連れてきたぞー!」

東堂君が人ごみの中、私に道を作りながら彼らの元へと駆け寄った。

「よく来たな」
「宮坂さん私服似合ってるよ」
「おせーよバァカ!」

3人も制服姿だ。まあ、私服に着替えてくるとは思っていないけど。それなら自分も制服で来ればよかった。

「とりあえずどの屋台回る?」

私の言葉に

「俺はりんご飴が食べたい」
「福チャンに任せようぜ」
「焼きそばが食いたいな」
「俺はカキ氷が食いたいぞ!」

とまあ、見事に意見がバラバラ。荒北に至っては自分の意見言ってないけど。

「みんなで欲しいもの買ってきてから集まる?」
「そうだな。それでは各々の買い物が済んだらまたここで集合だ。りんご飴を買いに行くぞ、荒北!」

いつになく気合が入っている福富君は駆け足で屋台へ向かっていった。

「宮坂さんは何食うの?」
「私は焼き鳥食べたいな」
「確か焼きそばと同じ屋台で売ってたから、俺たちは一緒に行くか。じゃ、あとでな! 尽八!」
「待てよ!」

爽やかに挨拶を決めた新開君の服の袖を東堂君がつかむ。

「俺だけ1人ぼっちじゃないか!」
「仕方ないだろ? お前以外カキ氷食べたいやつがいないんだから」
「カ、カキ氷は後でにする! 俺も焼きそばを食べるとしよう! わーっはっはっはっ!!」

3人で屋台に並んでいる間、色々な話をした。

「尽八の家は旅館なんだ」
「それは知らなかったな」
「いつかうちに遊びに来るといい! うちの温泉は色々な効能があるからな、いつもお疲れの宮坂さんにはもってこいだろう!」


話していてふと思うんだ。
彼はいつも、私のことを気遣ってくれているんだなって。



/ 67ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp