第5章 2年〜夏休み〜
「へぇー? 会長さんとか、真面目っ子じゃん」
「マジメッコ……? 何ですかそれ?」
「やっべ! 超ウケるわ!」
完全にバカにされてるとしか思えないんだけど……。通行人の人たちも私の周り避けるし。大柄な男複数名に囲まれるのもなかなか怖いんだけど。
(あ、自転車競技部も1名除いたら大柄か)
「俺達と一緒に祭り回ろうよ?」
「それはちょっと……。先約がいるんで」
私の言葉に、さっきまでの優しい雰囲気から少しだけ男たちのオーラが変わる。
「いいじゃんかよ、おら行こうぜ!」
無理やり手首を掴まれて引っ張られる!
「ちょっ……!」
さすがに腕力では叶わないか。
(1発股間を蹴ればいいんだろうけど、暴力はまずいか)
変に箱学の生徒会長が暴力沙汰起こしただとか言われたくないし。そしたら私だけでなく箱学の評判も落ちてしまう。
「宮坂さん!」
「東堂君?!」
半袖ワイシャツ姿の東堂君が駆け寄ってくる。そして、私の手を掴んでいる男の手を捻り上げる。
「嫌がっているだろう、離せ」
そう言い放つ東堂君は見たこともないような怖い目をしていた。
「……男連れかよ」
男達は何事もなかったかのようにぞろぞろと去っていく。
「あ、あの……」
東堂君はこっちを振り返り、ビッと私を指差す。
「知らない男に声をかけられたら丁寧な応対をするな! 無視するか適当にあしらって逃げろ!」
「は、はぁ」
「奴等は下心でしか宮坂さんのことを見ていなかったのだからな! 可愛い子はすぐに声をかけられる! 気をつけろ!!」
「……可愛い子?」
途端に東堂君の顔が真っ赤にそまる。
「い、いやっ……そうじゃ、いや、そうなんだが」
「でも、ありがとう」
東堂君がいなかったら、流されて彼らについて行ってしまったかもしれない。
「分ったなら良い! 行くぞ、皆が待っている」