第5章 2年〜夏休み〜
というわけで、自転車競技部の皆と夏祭りに参戦することとなった。
「俺達は寮住まいだけど、宮坂さんは一回家に戻ってから祭りに行くのかな?」
新開君の問いに小さく頷く。
そして空を見上げると、もう日が落ちつつある。夏は日が長いのにこれほど日が落ちているということは、それなりの時間になったのだろう。
(自転車競技部はあの昼休憩からこの時間までぶっ通しで練習してたのか)
冷房の効いた部屋で作業していたことを申し訳なく感じる。
「そうだね、家に帰って着替えてから行く。確かお祭りはこの学校近くの公園でやるんだよね?」
「そうそう、だから直接祭りに行くのかどうか気になってさ」
「洗濯物取り込まなきゃいけないし、一旦帰る。着いたら連絡するから……あ、連絡先」
私がそう呟くと、福富君、新開君、東堂君、荒北がそれぞれ携帯を取り出す。
「「「「これが俺のメアド(だ)」」」」
知るのは1人分で良いと思ったんだけど……。
「んじゃ、登録しますか」
全員分知っておいても悪いことはないし!
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
私は自転車で家に帰り、洗濯物を取り込んだ。
(7時過ぎか。少し急ごう)
時計を確認しながら着替える。
白地に水玉ロゴのワンピースを着て、普段と違うアレンジで髪の毛をまとめる。適当なサンダルを履き、家を出た。
(もう暗くなってる)
私の家付近の住宅街は人通りが少なく、大通りに出ないとなんだか怖い。早足で暗い道を通過し、大通りを歩いていく。
20分ほどすると、目的地の公園が見えてきた。なにやら楽しそうな音も聞こえてくるし、明るく賑やかだ。
(そうだ、メールしておこう)
携帯を取り出し、誰に連絡を入れるべきか迷っていた時のことだった。
「ねえねえ」
見知らぬ男の人に声をかけられる。私よりも幾分背が高く、なにやら装飾品を多く身につけている軟派な男。しかも複数名だ。
「なんですか?」
私が彼を見上げると、取り巻きの男がヒューッと声を上げる。
(何か変なことを言ってしまったのか……?!)
私自身は気づかないのだが、他の生徒から「しゃべり方が古臭い」「なんか面白い」などと言われてるから!
「お姉さんさ、どこ高?」
「あ、箱根学園の生徒会長を務めております」
え、なにこの感じ。