第4章 新開君と私
そうと決めたら、材料を探さなければならない。
(学校の廃材置き場に良いものないかな)
ちなみに、新開君にはあまり手伝ってもらうつもりはない。彼には自転車の練習を頑張ってほしいからね。
私は軽い足取りで廃材置き場に向かった。
「結構木材余ってるじゃん!」
去年の文化祭で使ったものが残っているのかな? 私よりも身長の高いベニヤ板とかも重なってるし。
「日曜大工の道具は生徒会室にあった気がするし……タダで小屋が作れるかも!」
そう思って木材に手を伸ばしたその時!
「っ?!」
勢いよく木材やその他の廃材が倒れてくる。その状況だけは分かっていたのに、体が動かなかった。
(痛ッ……)
腰から下が廃材に巻き込まれてしまった。さすがに足が潰れるとか折れるとかではなさそうだけど、なかなか引っこ抜けない。
(誰か呼ぶか)
「あ、携帯ない」
散歩では使わないと思い、生徒会室に携帯置いてきたんだった。
(叫んだら人様の迷惑になるし……え、どうしよう)
両足巻き込まれたわけだし、仮に足が抜けても歩けるのかどうか。あ、ほふく前進!!
「なんて言ってる場合じゃないじゃん……」
(おトイレとか行きたくなったらどーすりゃいいのさ! これは本格的にやばいな)
そんなことを考えているだけ私はまだ余裕なのかもしれない。
(あの時も、私は見ることしかできなかった)
『葵はそこにいなさい! 俺がなんとか助けを探すから』
「やだよぉ……ママもおにーちゃんもおきてよ……」
嫌な記憶だ。こういう状況になると、不安にかられて思い出してしまう。
「……馬鹿馬鹿しい」
こんなもの、1人でどうにかできる! 1人で!!
私は全身の力で廃材を持ち上げようとするけど、態勢が悪いせいもあってなかなか持ち上がらない。
「クソッ!!」
己の力のなさに反吐が出る。
「どうした?! 大丈夫か、葵!」
私の視線の先には、ジャージ姿の東堂君が。
「東堂、君……」
「馬鹿者! なぜ助けを呼ばなかったんだ?! 今退けるからな!」
助け呼べる状況じゃなかったんだって……。