第8章 食事会
広いダイニングルームに長いテーブル。
いつも司とお姉さんは端と端で向かい合って食べるらしい。
そんなんで話ができるのかな。
今日は一方の端に三人が集まっている。
司を中心に私とお姉さんが向かい合う席だ。
緊張がピークになってきた。
食欲なんてない。
というのも息を飲むようなお姉さんの美しさと上品さ。
さすが道明寺家の長女だし、今はホテル王の奥様だし。
椿「じゃあ、司と陽南ちゃんに乾杯!」
司、陽「乾杯」
椿「でも嬉しいわあ。
司にこんなかわいい彼女が出来て。
ほんとつくしちゃんに目元とか似てるのね。
さすがにいとこ。
でもつくしちゃんより背も高いし細いのね。
お家もそこまで貧乏じゃないのよね。
ぱっと見は普通にいいお嬢さんよね。」
司「姉ちゃん、陽南に失礼だろ。
陽南のお父さんは一応製薬会社の社長だって。」
椿「わかってるわよ。
でもほら、あのつくしちゃんのいとこって聞いてたから。
ちょっと期待しちゃったのよ。」
陽「はあ。」
なんて受け答えしていいか本当に思い浮かばない。
まあでもこの姉弟がたくさん喋るから笑顔で聞いてればいいかな?
椿「聞いたわよ、司に。
ブチ切れしてた司を止めたんだって?」
陽「あ、は、はい。」
椿「わたし以外にもそういう人がいたのね。
これで私も安心だわ。
司を任せられる。
もうね、そろそろ辟易してたのよ。
司のお守りなんて。」
司「んなこと俺は頼んでねーだろうがよ。」
椿「はあ?頼まれてもやりたくないのに、あんたが散々面倒を起こしてたんじゃないのよ!」
司「ふん!」
陽「……」絶句…。言葉が出ない。
この姉弟すごすぎる。無理。