第6章 お試し
道「沢井、ちょっといいか。」
休憩時間に教室にいると道明寺さんに声をかけられた。いきなりのことでびっくりしてしまう。
学校では話しかけられないものだと思い込んでたから。
クラスメイトがざわつく。
「ちょっと、道明寺さんよ。
沢井さんに何の用なのかしら。」
「牧野のいとこだしな。なんかあるのかもな。」
陽「つくし、一緒に来て!」
つ「ダメダメ。一人で行ってきなって。
ほら、頑張れ。」
陽「何を頑張るんだよ。
もう。恥ずかしいなあ。目立つのやだ。」
道明寺さんの後ろをついていくとみんなからものすごくジロジロ見られる。
うわー、恥ずかしいし耐えられない。
顔が火照る〜。
そして中庭の一角にきた。
人気はなく静かで景色の綺麗なところだった。
天気もいいし、二人で向かい合って芝生の上に座る。
道「とって食おうってわけじゃないから。
島から帰ってからお前とちゃんと話せてないし。
お前って学校じゃ俺たちのところに全然来ねえだろ。」
陽「だってつくしが行かないし。
道明寺さん達ってかなり近寄りにくいんだよね。」
道「ふーん、そんなもんかな。
そんなことより、用ってのはな、俺ってお前の連絡先を一切知らねえことに気づいたんだよ。
電話番号とかメルアドとか一式交換しようぜ。
ラインもやってんだろ。」
陽「あ、そうか。そういえばそういうのしてなかったね。」
道「だろ?お前に逢いたいと思ってもどうすればいいのかはたと考えちまったよ。」
そして私たちは連絡先を交換した。
道「で、お前は平日は習い事なんだっけ?」
陽「うん、水と金曜日と土日はしてないけどね。
土日は家の関係で潰れることも多いかな。」
道「じゃ、毎週金曜日は俺の日にしろよ。どうだ?」
陽「俺の日?基本、道明寺さんと会うということ?」
道「放課後な。俺の車で帰ろうぜ。
なんだよその顔、嫌なのかよ。」
陽「道明寺さんが嫌っていうんじゃないけど。
道明寺さんといるととても目立つのがちょっと。」
道「俺といると目立つのは諦めて慣れてくれ。
まあ、校門すぐじゃなくて、離れたとこで待つようにすっからさ。」