第6章 お試し
以前の俺なら総二郎やあきらに沢井とのことをすぐに話して自慢してたと思う。
でも今回はなぜかすぐには話す気になれなかった。
俺たちは付き合ってるわけじゃないんだよな。
まずは友達からって?
小学生みたいな関係だよな。
てか、すでに俺たち友達じゃないのかよ。
一緒に旅行してキスまでしてるんだぜ?
沢井とのことは大切にしたい。
牧野の時には俺の気持ちを牧野のことを考えず、俺の都合でぶつけてたのかなと思う。
それで牧野がそれに反応してぶつかり返してくる。
そりゃ疲れる関係だよな。
言い合いにもなるよな。
人を好きになることって、相手のことも考えるってことなのかな、と今回のことで気付いた。
沢井とは沢井のことも考えながらじっくりいきたいと思う。
…けど、まどろっこしいのは嫌いだ。
沢井は牧野と違って一人では俺たちのところに来ないからな。
牧野も来にくいみたいで最近は学校では寄ってこない。
類とはあの場所で会ってるみたいだけどな。
俺から沢井に声かけないとこのまま自然消滅だよな。
そういえば俺ってあいつの連絡先とか全然知らないのな。
浮かれてて聞くの忘れてたよ。
なんだこれ。
中学生でもまず聞くっての。
牧野に聞くのも癪だから、明日沢井にに直接聞くかな。