第5章 特別
一方で、花宮達は歩いている途中で癒貴の事を話し始める。
「彼女だろ?血が全くしないってのは…。」
「わざとぶつかったが、あの距離で血の匂いはしなかった。よほどだな…。」
古橋は、花宮に話し掛けると素の花宮がニヤリと怪しい笑みを浮かべながら言った。そして、何よりも面白そうで何か企んでいるかのようにも見える。
「花宮の猫被りには、笑った。」
「あー?第一印象は大事だろ?俺の素を知った時の絶望した顔をみながら血を貰うのは、最高だとは思わないか?」
「ふっ…花宮らしいな。だが、彼女の血は興味はあるな…。」
3人は、黒い笑みを浮かばせながら歩いていた。そんな事は、癒貴は知らない。一方で、癒貴は無事に家に帰る事が出来て、血は座れなかったと安心するのだった。
リビングに入ると、机の上に紙が置いてあった。其処に書かれていたのは…。
『帰り遅くなります。吸血鬼には気をつけてね。』
母親の字…沙耶の綺麗な字で書かれていた。癒貴は、クス…と笑いその紙を丸めてゴミ箱に入れる。そして、ありがとう…と癒貴の口から零れる。
そのタイミングで、ピンポーンというインターフォンが鳴り出す。勿論の事、癒貴は不思議に思いながらドアを開ける。其処にいたのは…。
「やっほー、黄瀬涼太っス!」
満面の笑みを浮かばせ癒貴に手を振る。癒貴は、思わず唖然としてしまう。その隙がいけなかっのか、ノコノコと家に上がる黄瀬。
その行動を見た癒貴は、黄瀬に向かって怒鳴る。
「勝手に人の家に上がらないでよ!てか、私教えてないよ!!」