第5章 特別
翌日になり、そのまま寝てしまった癒貴は朝からシャワーを浴びることになってしまった。暫くしてから、髪の毛を乾かし、朝ご飯食べ学校へと向かうのだった。
癒貴は、流石に1人で行動している時はかなり警戒して歩いている。警戒している為、いつも以上に精神的に疲れてしまう。
「ホント…最悪だな………。」
癒貴が嫌そうな表情を浮かばせながら、歩いていた。嘘のように無事に学校に着いた癒貴。溜息しながら自分の席に座る。
癒貴は、ひたすら時間が経つのを待ち続けたのだった。あっという間に、夕方となってしまった。癒貴は、顧問の先生に断り今日の部活を休むことにした。
普通に家に帰ってるのにも関わらず、誰かに見られているように感じられる。それだけで癒貴の苛立ちが高まる一方だ。
──ほんと、誰…。ずっと、見てくるのは…。
癒貴は、とりあえずその場から逃げたくて歩く速度を少し上げる。やがていつも通りの曲がり角でドンッ!と誰かにぶつかる。
「…っ、…。すみませんでした!」
癒貴は、ぶつかった人に謝る。
「こちらこそすみません。怪我はしてませんか?」
礼儀正しい男子。恐らくは見た目は癒貴より1つ上だった。黒色の髪にショートヘアーだった。
「花宮?行かないのか?」
「ねみぃから、早く行こうぜ。」
そうぶつかった相手は、花宮だった。そして、その仲間である古橋と瀬戸の姿があった。花宮は、2人にすまない…といいながら癒貴から離れる。
この時、癒貴は花宮が猫かぶりとは全く知らなかったのだった。