第5章 特別
先程の不安な顔を見せないで癒貴は、笑顔でお礼を言う。大翔は、ニカッ!と笑い乱暴に癒貴の頭をワシャワシャと撫でる。
勿論の事、癒貴の髪の毛はぐちゃぐちゃたったが、怒っている様子はなかったが、大翔に向かって何するの!?と呟くように言っていた。
大翔は癒貴から逃げ出すように、無邪気に笑い急に走り出す。勿論の事、癒貴は大翔を追い掛けるように走り出すのだった。
黄瀬と森山を引きずりながら歩いている笠松。相当、怒っているみたいだ。
「ちょっ!笠松先輩ー!俺、死んじゃうっスよ!!」
「あん?いっそう…そのまま死ね。」
「笠松……マジで、放してくれ……。呼吸が…出来ない………。」
笠松が、2人の襟首を掴んでいる為、2人の首が締め付けられているから呼吸が出来ない。笠松は、溜息を出しなが2人を解放する。
やっと解放された2人は、ヨロヨロと立ち上がる。そして、笠松は腕を組んで黄瀬に質問をする。
「んで、あそこで何をしてた?お前は…。」
「勿論、血を頂こうとしただけっスよ?」
「目立つ場所で、飲もうとするな!シバくぞ!」
笠松がそんな事を言いながら既に黄瀬をシバく。黄瀬は、シバいてるじゃないっスかーと言いながらヨロヨロと起き上がる。
「にしても、あの子から血の匂いしなかったよな?」
思い出すかのように、呟くように言う森山。黄瀬は、ニヤリと笑い当たり前っスよ…と言葉を付け足す。
「だって、癒貴っちは吸血鬼なんスもん!」
黄瀬の一言に、森山と笠松は目を丸くさせる。
「黄瀬……頭、大丈夫か?」