第5章 特別
翌日になり、癒貴が登校している時だった。癒貴の行き先に、あのモデルの黄瀬の姿があった。その姿を見た癒貴は、足を止める。
「おはようっス!癒貴っち!」
「…おはよう、黄瀬。」
黄瀬が挨拶をしてきた為、癒貴は警戒しながらとりあえず挨拶を返す。何故、此処にいるのか…癒貴にとっては不思議に思っていた。
「そんな警戒しないで、欲しいっスよ。」
「無理。」
即答っスか…と呟きながらガックリと肩を落とす黄瀬。流石の癒貴は、相手が吸血鬼だ、という事が分かっている為、警戒心が高くなっている。
「なんで、私を狙うの?」
「そりゃー、勿論癒貴っちの血は、どうやら特別みたいだからっスよ。まだ、俺は飲んでないけど…。」
少し残念そうな顔を見せる黄瀬。特別な血…と呟くように言う癒貴は、脳裏で赤司の言葉を思い出す。他の吸血鬼にも気をつけろ…と。
「なんで、私ばっか…狙われなくちゃいけないの……。」
恨むかのような表情をしながら悔しそうに言う。
「1つだけ、狙われない方法があるっスよ。」
黄瀬から意外な言葉を聞いた時、へっ!?と間抜けな声を漏らす癒貴。思わず黄瀬を凝視する。
「ど、どんな方法?」
癒貴は黄瀬に問い掛ける。すると、急に表情を変える黄瀬は、それは…と言葉を付けた瞬間、癒貴の目の前に移動した黄瀬。
いつの間に…?と目を見開く癒貴。黄瀬は、どこか意地悪そうな表情を浮かべる。あと…2、3㎝で癒貴と黄瀬のお互いの鼻がくっつきそうな距離だった。