第4章 吸血衝動
やがて、癒貴は満足したのか、ゆっくりと大翔の首元から離れていく。よく見ると、癒貴の姿は人間へと変わっていた。
だが、大翔の血を飲んでしまったのかショックが大き過ぎてポロポロと瞳から大量の涙を流す癒貴。
「大翔、本当にごめんね。迷惑だったよね?」
「そんな事、思ってねぇよ。吸血鬼とか関係ない。俺は、お前を助けたいだけなんだよ。」
大翔は、頬を緩ませ癒貴の頭を優しく撫でる。やがて、癒貴は涙を拭き立ち上がる。大翔も立ち上がるが、本来…吸血鬼に血を飲まれたら貧血になる筈だが大翔はそんな素振りをみせない。
恐らく、癒貴が手加減してくれたのだろう。という事で、この2人で家に帰る事になった。家に帰ったら、癒貴は優斗と沙耶に報告する。
勿論の事、2人は驚いていた。
「他の吸血鬼にバレてしまったか……。どうする?引っ越すか?」
優斗から出た言葉が、引っ越し…。しかし、癒貴は首を左右に振る。癒貴は、引っ越ししたくないみたいだ。
「でも、マズいんじゃないの?癒貴に負担が掛かるよ?」
母である沙耶も心配そうに言う。それでも、首を左右に振る癒貴。
「大丈夫だから。今の学校とか楽しいから私は、ここにいたい!」
癒貴の一言に、苦笑を浮かべる優斗と沙耶だった。