第4章 吸血衝動
赤司に血を吸われ、吸血衝動へと入ってしまった私は、自分なりに抑えようとしていた。しかし、私の脳裏では血が欲しい…と求める。
「…大丈夫か………には見えないな…。」
大翔は、心配そうに私を見て声を掛ける。首を縦に振りたくても振れない。更に言うなら、いつも以上に大翔の血が匂う。
血は、飲みたくないと思っているのにそれでも求めてしまう。私は、ひたすら頭を抱えることしかできない。大翔は、やがて私と同じ目線まで腰を下ろし、真剣な瞳で私をみる。
「俺の血を飲め。いや、飲んでくれ。お前の辛い顔は見たくない。」
赤司とは違う眼差しだ。思わず私の頭の中は、思考停止となりジッ…と大翔を見詰めてしまった。
「でも、でもッ!!」
「マジで頼むよ。これ以上……見たくねぇんだよ……。」
そして、私の首に大翔の腕が回す。大翔の腕は、僅かに震えていたのだ。大翔の想いは本物だ。私を助けたくて仕方ないのかもしれない。
なら、私は……。やがて、ゆっくりと口を開き大翔の首筋に牙を当てる。
「…いいぜ、遠慮することはない。」
「ごめんね、ごめんね………。」
私は、謝りながら大翔の首筋に、牙を入れ込む。その時、うっ…と僅かに言葉を漏らす大翔。それでもお構いなしに、私は大翔の血を飲み始める。
一口飲んだだけで、分かる。大翔の血の味を…。初めて飲むが、血の味がこんなにも甘いとは驚いた。本来なら、血はとても不味いが吸血鬼とっては、甘い飲み物と考えていいだろう。
それでも、個人差によって甘さが違うみたいだ。