第4章 吸血衝動
「そいつから離れろッ!!」
なんと、駆け付けてくれたのは部活帰りの大翔だ。大翔は、握り拳を作り赤司に殴り掛かる。しかし、赤司はそれを分かっていたのか、癒貴の両手首を放し素早くその場から離れる。
大翔は、吸血衝動で苦しんでいる癒貴を抱き寄せる。優しく癒貴を安心させるように包み込む。大翔は、そのままの状態で、赤司を睨み付ける。
「お前…吸血鬼だな?コイツに何をした?」
「よく僕が吸血鬼って分かったね。その辺は、褒めてやろう。だが、僕は食事中だったんだけど、君が邪魔してきたんだ。」
赤司は、大翔に感心しているようにも見えたが、赤司の瞳は瞳孔を細め大翔を睨み付ける。その瞳は、冷たく心臓に突き刺さるような感じがする。
そして、大翔は頭の中で赤司が言った食事中…という言葉がリピートしていた。大翔は、ゆっくりと癒貴を離して癒貴を庇うように前へと出る。
そして、大翔は、左腕はやや前に出して右腕は鳩尾の辺りにおく。そう、この構え方は空手だった。
「へぇ~…。君、空手をやっているみたいだね。それも凄腕の…。人間の分野では、強い以上の力を持っているみたいだね。」
「褒めたって、何もでねぇよ。それに空手だけじゃない。柔道もそれなりにやってきた。何かあってもいいように…な。」
大翔は、目を細め赤司を睨み付ける。だが、赤司は構えない。どこか余裕そうにも見えた。
「食事中って言ったな……。ということは、コイツの血を飲んだって事だな。なら、何故こんなに苦しんでる!?何かしたのか!?」