第4章 吸血衝動
「僕の血を飲め。そうすれば、楽になる。」
その言葉を聞いた彼女は、ピクッ…と動きが止まる。僕は、彼女の耳元に囁いたいるため、彼女の目の前に僕の首元がある。
彼女が吸おうという意志があれば、いつでも僕の血を吸える。だが、彼女は震える口を動かさない。噛み付こうとはしない。彼女なりに、理性で抑えつけようとしているのだ。
なら、もっと彼女の理性が効かないくらい煽れば良い話だ。彼女の血を吸う事によって、恐らくは本能も引き立たせるに違いない。
僕は、ゆっくりと口を動かす。
「本能に抗うな。でなければ、僕が君の理性を崩す。君が僕の血を吸わないのなら、僕が君の血を頂こう。」
「嫌…だッ!嫌嫌嫌ッ!!止めて!放してッ!!」
ここで、彼女が抵抗をみせる。しかし、抵抗した所で男である僕には勝てない。力で抑えつけ、再び彼女の首元に顔を埋めさせ、口を開け首筋に牙を入れようとした時、遠くの方から足跡が僕の耳に入ってきた。