第3章 血
翌朝になり、癒貴はリビングに下りて朝食をする。今日も学校がお休みの為、癒貴は買い物がしたくて、優斗と沙耶に外出の許可をもらい、デパートへと出掛けるのだった。
生憎、癒貴は1人で買い物だ。本来なら大翔と一緒に出掛けたかったが、肝心な大翔は、部活で無理という。癒貴が必要な物を揃えてデパートを出て行くと、その途中で沢山の女性の声が聞こえてきた。
癒貴は、何事かと思いその方向に向かうと、其処にはモデルで有名な黄瀬涼太の姿があった。どうやら、写真撮影をしているみたいだ。だが、癒貴にとっては一切モデルには、興味がない為その場から離れていく。
そして、近くにある公園で休憩をする癒貴。後からデパートでジュースを買えば良かった…と翌々後悔をしていた。仕方なく癒貴は、公園にある自動販売機で、ジュースを買いベンチに座る。
ジュースのキャップを開けて、自分の口に持って行き飲む。その時、ぞろぞろと沢山の人が歩いてくる。癒貴にとっては、今日が厄日だろうか…。その集団は、黄瀬の関係者だった。
1人のスタッフが、黄瀬に話し掛ける。
「次、此処で撮影を始めるから。一旦、休憩してて貰ってもいいかな?」
「了解っス。」
黄瀬は、スタッフに言われその辺のベンチに座る。違うスタッフは、素早く準備を始めていた。此処は、公園。かなりの人がいる筈だが…今日に限って少なすぎる。
その様子から癒貴は、1つの溜息をして視線を地面に写す。その時…。
「溜息をしてると、幸せが逃げちゃうっスよ?」
癒貴の頭上から、黄瀬の声が聞こえ慌てて顔を上げる。其処には、黄瀬が立っていた。