第8章 8話
(楓side)
さつきちゃんの話を聞いたその日、久しぶりに赤司と会うことができ一緒に下校した。
最近、赤司は忙しいらしく朝早く登校し夜は遅くに帰宅する。そんな日々に彼の目の下にはクマができていた。
私はいつしか彼の家に行くことは無くなっていた。
だから久しぶりにゆっくり話して帰れると思っていたのに彼はずっと考え事をしているのか口を一切開かない。
それどころか私の話を聞こうとしなかった。
私「赤司!!赤司!!」
赤司「……ん?ああ、すまない。」
彼は生返事ばかりだった。
こんなに頭を抱える彼は初めて見た。だからか私は彼の事がすごく心配になっていた。
家に着いてからも自室にこもりっきりで呼んでも返事をせず無視ばかり。
私「赤司!!!」
私は今日1番声を張り上げてさけんだ。
赤司「…ごめん。」
私「謝るぐらいなら最初から無視をするな!!約束したでしょ!!」
赤司「そうだったな。」
私「何か不安なことがあるなら頼ってよ!!こんなになってまであんたが悩まなきゃいけないことなの??!!」
赤司「ごめん。」
幾らいっても謝ってばかり。
私は自分より高い彼を引き寄せ大きな胸に抱きついた。
私「いつもいつも難しい事ばかり考えすぎだよ。あんたは休んでもいいんだって、もう何にも考えないで。」
赤司は私の肩に顔を埋めると優しく、だけどきつく私を抱きしめた。
赤司「ごめん。ありがとう。」
私「そうだ!!いつもいつも、お前が何かあったら俺を頼れ!!とか言うよねー!!」
赤司「そんな事俺が言ったか?」
私「言ったよ!!」
はははっと。笑う彼の笑い顔は横顔だったが上手く笑えてなくて頬がひきつっていた。
赤司「俺はたまに自分が自分じゃなくなる気がして怖くなる。簡単に言えばもう一人の自分がいる様な感覚だ。…その存在が段々大きくなる気がして。…」
私「征十郎。」
私は彼の唇に優しくキスを落とした。
一度したら彼から離れようとしたがそれを彼の手が防ぎ、また何度も触れるキスを繰り返した。そのキスは段々触れるだけではなくなり私の口内を蹂躙し始めた。
余裕がないのか彼の舌は荒っぽい。
でも、そんな彼を邪険にすることは絶対に嫌だった。
唇がようやく解放された時には銀の糸が私たちを結びつけていた。
「はぁっ。…はぁっ…はっ。」