第8章 8話
(赤司side)
山吹と逢沢が別れてから思うように俺と山吹の関係は進展しなかった。
それは単純な話で、俺が部活の事で最近は忙しくしていたからだ。
青峰があの様な成長を遂げたのは予想の範囲内だった。ただ、予想外だったのは彼の成長速度だ。
元々彼のプレーは中学生とは思えないようなところがあった。が、所詮中学生。幼さの残るプレーだった。
でも今は違う。
一体誰が予想しただろう。
彼は元々天才の部類だったがまさかここまでとは正直俺も驚きを隠せない。
青峰が才能を開花させると練習をサボり始め、チームの雰囲気がかつてないほど悪くなっていった。彼が休めば休むほど周りの雰囲気を悪化させているのは目に見えてわかった。
特に元々紫原はバスケを嫌っていたためもあり、青峰に凄く影響されていた。それに、この所俺に何かにつけて反抗する節があった。
紫原も青峰と同じ様に中学生らしからぬ才能に開花していた。
この2人の成長に制御しきれなくなった俺はただただ焦り2人の背中をどうにかして引っ張り戻そうとする心と仲間に置いていかれる自分が恐ろしかった。
しかし、2人は待ってくれるはずもなく残る2人も才能を開花させ今の自分の焦りはただの脅迫にさえ感じていた。
もう、帝光の抱えた理念でさえ俺の重荷になってのしかかっていた。
百戦百勝。
以前は当たり前と思えたはずだった。