第4章 4話
それから少ししたったある日、赤司と一度だけ下校が被った。
その日は逢沢くんが練習試合に別の学校に行っているため私はみっちゃんやさつきちゃんと帰ろうとしていた。
けど、2人とも部の仕事があるからとかで買い出しに行くらしく1人で帰る事になるはずだった。
赤司「やぁ、久しぶりだな。1人なら一緒に帰ろう。」
私「でたな、嘘つき。」
赤司「何のことだい?」
私「わかってるくせに。」
こんな軽い会話の気がするのに私達の纏ってる空気は何処か重たい。
赤司「今月の25日、俺の家に来てもらえるかい?」
私「何で?あなたの誕生日って冬じゃなかった?」
赤司「俺の誕生日じゃなくて。母さんの命日なんだ。」
その日は彼の母が亡くなってから既に3回目を迎えることになる。彼は今だにこの日だけは何があっても家族や親しい中の私以外を家に入れたがらない。
彼はいつも孤独であるが1年で1番彼が孤独である日だ。
私はこの日の彼を見ると辛くなるので記憶からこの日の事を消すようにしてきた。
私「わかった、ご飯も持ってくね。その日は湯豆腐でも食べようか。」
赤司「ありがとう。」
それからは何を話していたかあんまり覚えていない。
私が一方的に話すだけで彼はたまに相槌を打つだけ。前はもっと突っかかってきた彼らしからぬ行動に少し胸が痛む。
私「じゃあね、また明日。」
赤司「あぁ、じゃあ。」
その時突然踵を返そうとした彼の腕を掴んでいた。
赤司「どうした?」
彼の訝しむ声が妙に優しく聞こえて、少し心臓の鼓動が早くなった気がした。
私「あの頃、…………って言ったよね。」
赤司「何て?聞こえなかった。」
少し近付いた彼から制汗剤の匂いがした。
私「責任取るっていったよね!!」
近付かなくても聞こえるぐらいの声に彼も私もびっくりしてしまった。
赤司「驚かせるなよ。というか責任て俺はもう関係ないんじゃないのか?」
私「関係なくない!!私はあんたの、征十郎の言葉を信じてた。」
何わがまま言ってんだ私、と内心ではそう思っていたが私の口は止まらなかった。
私「あの頃確かに1人にしないと言ったのは私からだったかもしれない、だけど、同じように約束してくれたよね?私をずっと1人にしないって。」
赤司「わがままな王女様だな、本当に」
呆れ顔の彼は少しだけ嬉しそうに笑った気がした。