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厄介な天帝さん

第4章 4話


その日私と赤司はある約束をした。
1つはお互いの恋愛に関することは極力口出ししないこと。
2つ目は無視はしないこと。
たった、それだけの約束だった。
何だか条約を結んだ国同士の気持ちがわかった気がして私はむず痒くなった。

それでもいいと思えたのはお互いが今までの事を少し反省しているからだと思う。

家に帰ってからはお母さんの残したメモを見てご飯を温め直し、今日は持って行けと言われたわけでわないのに向かいの幼馴染の家に無理やりおかずを持って行った。
案の定彼は何かを作りかけだったようで苦笑いを浮かべていた。

それでも今日は彼の隣にいたい気分だった。
食べたあとは軽く勉強を見てもらい、大喧嘩になりかけたりもした。
そんな時間が楽しくて私は携帯を確認するのを忘れていた。

そして、赤司の家でぐだぐだした後は
「さっさと帰れ」と追い出された。

時計を見ると10:00を回っていた。
いつもは彼に9:00には追い出される。今日は彼の隙が見えた気がして謎の優越感に浸っていた。

家に帰ると置いていった携帯が不在着信の知らせを受信していた。
その知らせは10件もあったようで、うち1件は母からで後の9件は逢沢くんからだった。逢沢くんからはLINEにも通知がきていた。内容は今週末、つまり明後日のデートのことだった。
赤司の家に行ってすっかり忘れていたが最悪だ。赤司の言っていた25日というのは明後日でデートの日と被ってしまっていた。

ブッブー

私「もしもし。」

逢沢「あ、山吹今どこ?」

私「家だよ?どーしたの??」

逢沢「嘘、さっきまで向かいの幼馴染の家に行ってたんじゃねーの??」

私「ち、がうよ。」

逢沢「まぁ、いーや今お前ん家の前にいるんだけど出てきてくんね?」

私はそれを聞いた瞬間窓の外を見た。
彼の言ったとおり、私と赤司の家を挟んだ通路に彼はいた。

私は仕方なく出ることにした。
慌てていた私の視界には向かいの窓からチラチラと赤い髪が見えた気がした。
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