第3章 3話
私は家の本棚に本と一緒に置いてあったはずの所にアルバムをしまうと時計は既に7時を指していた。
赤司の家に行くまで15分はある。
母に言われたとおりお鍋に火をかけた。
ピンポーンピンポーン、相変わらずこのチャイムの音だけは昔から違和感があった。
何せ赤司の家はこの地区全体を見てもズバ抜けて大きい。
小学校の時に見た航空写真なんかで赤司の家を探せば私の家もすぐ見つかったぐらいだ。
そんな彼の家のチャイムはごく一般的で何だかこの中世のヨーロッパ風の家には浮いてていつも笑いそうになる。
赤司「いらっしゃい。上がってくれ。」
私「うん。」
赤司はお風呂に入ったばかりか髪の毛から水滴が落ちて肩にかけてあるタオルもベタベタのままだった。
赤司「いつも突然何処かの誰かさんが時間を無視してやってくるから髪を乾かす余裕もない。」
私「すいませんでしたねー!!」
赤司「嘘だよ、お鍋持つよ先にリビングに上がっててくれ。」
彼は凄く誰にたいしても紳士だ。
私は彼のそういうところは嫌いじゃない。
部屋に入るとやはり広がったのは中世のヨーロッパをイメージした部屋で何処も汚しては行けないような清潔感に息がつまりそうな部屋だった。
こんな広い家で彼はいつも1人何を思っているのかな。
そう思えば思うほど、私は彼の事が心配になるいつか壊れてしまうんじゃないかって。
赤司「ご飯は食べてきたのかい。」
私「まだ。」
赤司「そうか、なら悪いけど自分でご飯を入れてくれるかい??俺は少し髪を乾かしてくるよ。」
私「了解かいでありまーす!」
ふっ。そう言って少し笑うと部屋を出た彼はいつもの天帝様の顔とこの部屋の緊張感から少しだけ表情が柔らかくなった気がする。
たまにだけどこうやってふざけてるのは勿論彼の為である。というより私がこの部屋に馴染めていないから空気をぶち壊そうとしてるだけなのかもしれない。
赤司「先に食べてても良かったのにな。」
いつの間にか戻ってきた彼はいつも通りふわふわした髪型だった。
私「いいよ、一緒に食べよう。」
赤司「そうか。」