第22章 花と空の別れ
「……ここ、久しぶりに来た。」
桜はとある所に来ていた。
記憶が戻った場所。
信じてもらえなかった場所…。
「…これ、あたしのお墓……。」
ここへ来ると色々なことが思い出される。
白哉と出会った場所であり、今の自分の原点。
「どうして花なんか……。」
あたしのこと敵だと見ていたのに……。
現世と流魂街の時間の流れは違う。
現世では1年と少ししか経ってないけど
流魂街では何十年と時間が経っている。
それなのにどうしてこんなに綺麗に保たれているの、?
…分からない。
だれが添えた花なのかも、どんな思いで添えたのかも。
「頭の中ぐちゃぐちゃになる…。」
結局あたしは今でも瀞霊廷の敵なの?
旅禍として敵と見られているの?
それとも、やっぱり史上最悪の裏切り者?
確かに藍染が瀞霊廷を裏切ったことは事実。
だからといってあの時の出来事が
藍染の仕業だとは言いきれない。
何より……あの出来事が嘘だと、
藍染の仕業なんだと言える証拠がない。
桜の中に暗い感情が生まれる。
桜はその場に座り込む。
「…やっぱり殺されるかな、」
嫌なことを考え始めると、
とことんその思考回路から抜け出せなくなる。
どんどん悪い方に考えてしまう。
やっぱりこんな時にそばに居て欲しい、
助けて欲しい、大丈夫だよって言って欲しいのは彼ひとりで。
ルキアや織姫が言ってくれても安心する。
そりゃあ友達だもん。
でも、彼だけは違うの。
あたしに心の底からの安心をくれる人。
つらい時にいつだって駆けつけてくれる。
ルキアや織姫とは違う心の在り所。
「……一護…。」
桜の目から涙が零れた。
頭の中がぐちゃぐちゃで訳が分からない。
なにをどうしたらいいのか。
なにをすることが最善なのか。
?「ここにいたのか。探したぜ桜。」
背後から懐かしい声がする。
桜が振り返ると………。
「…一角……。」
懐かしい友人の姿があった。