第21章 蝶の奪還 episode4
多くの隊長格に囲まれているにもかかわらず、
笑っている藍染。
夜一「なにがおかしい藍染。」
藍染「いや、すまない。時間だ。」
その瞬間、異常なほどの霊圧が瀞霊廷を包む。
そして……
夜一「離れろ‼砕蜂‼‼」
夜一と砕蜂が離れた瞬間……
ドンッ‼‼
1本の光が藍染を包む。
光が差し込む方向を見ると……
京楽「こんなことありえる?」
大量の大虚が空の黒い穴から顔を出す。
その瞬間、1本だけでなく
2本の光が伸びていく。
その光は市丸と東仙を包んだ。
市丸「…ちょっと残念やなあ、
もうちょっと捕まっとってもよかったのに……。」
市丸はそう嘆くと、乱菊のほうを見る。
市丸「さいなら、乱菊。」
振り向いたその顔は、
少しだけ悲しそうな顔をしていた。
市丸「ご免な…。」
藍染と市丸、東仙が光に包まれると、
3人のいる地面が浮き上がる。
そのまま、大虚のもとへと飛んでいく。
射場「逃げる気かい、この…‼」
山本「やめい。」
3人を追おうとする者たちを、
一番隊隊長、山本が止める。
射場「総隊長‼」
山本「あの光は『反膜』というものじゃ。
大虚が同胞を助けるときに使うもので、あの光の内と外は完全に隔絶された世界となる。あの光が降った瞬間から藍染には触れることすらできん。」
浮竹「大虚とまで手を組んだのか、藍染。
何のためにだ…‼。」
浮竹はゆっくりと上に上がる藍染を見て言う。
藍染は表情を変えることなく答える。
藍染「高みを求めて。」
浮竹「地に堕ちたか、藍染…‼」
藍染「傲りが過ぎるぞ、浮竹。
誰も最初から天に立ってなどいない。
君も僕も。神すらも。
だが、その空白も終わる。
これからは私が天に立つ。」
そういうと藍染はかけていた眼鏡をはずし、
髪をかき上げる。
それは以前、桜が似合うと言っていた姿だった。
藍染「さようなら、死神の諸君、旅禍の少年。
そして……。」
藍染は少しだけ顔をあげて
自分を見上げる桜に視線を送る。
藍染「君だけは必ず手に入れるよ。
今はさようなら、水瀬桜くん。」