第21章 蝶の奪還 episode4
勇音『精霊亭にいる全隊士、そして旅禍の皆さん。
こちらは四番隊隊長、虎徹勇音です。
どうかしばしの間、ご清聴お願いします。
これからお伝えすることはすべて真実です。』
瀞霊廷にいる全死神へと、
虎徹勇音の音声は届いていた。
もちろん、一護だけでなく
双極の丘にいる桜にも音声が届いていた。
勇音『ただいま、私と卯ノ花隊長が
知っている真実をすべてお話しします。
五番隊隊長、藍染惣右介が生存しており
瀞霊廷への反逆者として双極の丘にいます。
信じられないことかもしれませんが真実です。
すでに反逆者、藍染惣右介は
自身の副隊長である雛森桃、十番隊隊長である日番谷冬獅郎を手にかけており、卯ノ花隊長が現場で治療にあたっています。』
この真実に誰もが驚く。
一護「瀞霊廷の反逆者……?」
一護がどこかで聞いたことがあるフレーズだった。
たしか、それでアイツは……
勇音『…お気づきの方もいらっしゃるかもしれません。藍染惣右介が反逆者であるということは、過去に彼と対峙したものは反逆者ではないということになります。逆に私たちは正しい人たちを反逆者としてしまっていたのです。』
その瞬間、一護は、理解した。
桜が記憶を失くした経緯を。
勇音『過去に藍染惣右介に手をかけたということで反逆者として全隊長、副隊長に処刑されてしまった方。二十番隊隊長、水瀬桜さん。彼女は正しかったということになります。』
一護は怒りで震えた。
まんまと藍染惣右介にしてやられた桜。
そのせいで、記憶を失くすほどの
つらく苦しい戦いが起こってしまった。
自分で自らの記憶を封じてしまうほどの。
その桜にとっては悪夢でしかない出来事を起こした人物が今、双極の丘にいる。
一護は霊圧を探る。
いつの間にか、恋次とルキア、そして桜が双極の丘にいることが分かる。
一護「……桜…ッ‼‼」
一護は今までにない速度で、
双極の丘へと向かう。