第20章 蝶の奪還episode3
ドン‼‼‼
一護が夜一の服を掴み、壁に押し付ける。
一護「……なんで…なんで俺だけ連れて帰ってきたんだ‼‼
あそこには岩鷲や花太郎……桜もいたじゃねえか!!
あそこに残っていて生き残る可能性が一番高かったのは俺だった‼」
夜一「自惚れるな、おぬしとて生き残る可能性などない。
あそこにいたものでは白哉を相手にして
生き残れるものなどおらぬ。」
一護「てめえ……‼」
今にも殴りかかりそうな一護。
しかし、夜一はその一護を投げ飛ばす。
一護「ガハッ‼」
夜一「確実に白哉から逃げ切るためには、
一人抱えて走るのが限界じゃった。」
一護「じゃあ、なんでルキアじゃなくて
桜でもなくて俺なんだよ……‼」
夜一「……正直、桜ならば本気をだせば
今の状態でも白哉とは互角にやりあっていたであろう。」
一護「……今の状態でも…?」
夜一「そう、桜があそこにいれば
あの場所で皆が殺されることはないということじゃ。
桜を抜いたらあの場で
白哉にかなうものなどいなかった。
しかし、おぬしなら3日あればその可能性が見えてくる。
そう思うたから、わしはおぬしを連れてきた。」
一護には、何かが引っ掛かった。
今の桜でも……。
今の桜は本気ではないということ。
本気を出したら、白哉さえ圧倒するということ。
正直、信じていなかった。
今まで近くにいて、
それほどの力を感じたことがなかったから。
夜一「今のおぬしでは奴には勝てん。
じゃが、3日で勝てるよう鍛え上げてやる。
そしてもう一度おぬしの手で皆を
…ルキアを……桜を助け出せ‼‼」
この時、一護は想像してもいなかった。
後に手に入れるこの力を、
現段階で桜が持っているなんて。
そして、その力の異常さを。