第20章 蝶の奪還episode3
日番谷「捕えろ、二人ともだ。」
日番谷の指示で、雛森を松本乱菊が。
吉良を檜佐木がおさえる。
そして…
日番谷「そこの旅禍は……」
日番谷の瞳が桜をうつす。
冷たい凍てつくような瞳が。
しかし日番谷は……
日番谷「総隊長への報告は俺がする‼‼
そいつらは拘置だ、連れていけ。」
先に雛森と吉良への対処を促した。
市丸「すんませんな、10番隊長さん。
ウチのまで手間かけさしてもうて……。」
「…………。」
桜は黙ってその様子を見ていた。
市丸の手を見ながら。
日番谷「…市丸。
テメエ今、雛森を殺そうとしたな?」
市丸の手の指が少しだけ曲がっていた。
……何かをしようとしていたのは、
明白だった。
それに気づいたのは日番谷と、
桜だけだった。
市丸「はて、なんのことやら。」
日番谷「…今のうちに言っておく。
雛森に血ィ流させたら、俺がテメエを殺すぜ。」
すると市丸は笑って…
市丸「そら怖い。
悪い奴が近づかんように、
よう見張っとかなあきませんなあ。」
そう言って市丸はその場を去っていった。
今、この場にいるのは日番谷と
桜だけ。
日番谷「……感謝する。
お前がいなかったら雛森は
今この世にいなかった。」
「気づいていたんですね。」
そう。
桜は吉良の攻撃を防いだだけではなかった。
市丸が雛森を殺そうとした瞬間、
一瞬だけ緑蝶を発動させ
市丸の術から雛森を守っていた。
「あの人が発した術は弱かったので、
防げましたけどね。」
日番谷「ああ。
アイツは自分の術で
雛森をひるませるつもりだったんだろう。
……吉良が斬りかかる直前でな。」
「おそらく。」
日番谷と桜の瞳がぶつかる。
そして……
日番谷「…行け。
俺は今はお前を捕えるつもりはない。」
桜の瞳が大きくひらく。
てっきり、ここで戦うものと思っていたから。
「じゃあアナタの気が変わらないうちに……。」
そういって桜はその場を後にした。