第18章 蝶の奪還episode1
「はあっ……はあっ……。」
夜一「そこまで抑えられれば充分じゃ。
よく頑張ったな。」
「あ、ありがとうございました……。」
あれから3時間半。
桜と夜一はずっと特訓をしていた。
そのおかげか霊圧はだいぶ抑えられている。
夜一「汗びっしょりじゃな。
どれ湯浴みでも行くかの。」
そう言って夜一は桜を連れ出して
ある泉に来た。
夜一「季節はまだ夏じゃ。
この気温じゃったらちょうどいいじゃろ。」
「キレイな泉ですね……。」
泉には無数の蛍が舞っていた。
桜は花姫を近くに置いて、
泉に入る。
どこから持ってきたかは分からないが、
夜一の持っていた水着を着て。
「あ、ちょっと冷たい。」
しかし、ひんやりしていて気持ちがいい。
そこに夜一も入る。
夜一「ひんやりしておるの~。
…………ん?桜、その傷は?」
夜一は桜の背中についた、
小さな傷を見つけた。
背中の上の部分についている傷跡。
「あぁ。これはあたしが空から落ちてきた時、
大怪我をしていた時のものです。
テッサイさんや喜助さんが
治そうとしたらしいんですけど、
この傷だけは消えなかったって言ってました。」
大怪我をしていた時のもの。
………………死神の時のものか。
桜に一体なにがあったのか。
夜一は少し瀞霊廷を探ってみたことがある。
しかしまるで水瀬桜という死神はいないかのように何も見つけられなかった。
夜一「……そうか。
なんだか羽みたいじゃな。」
そう言って夜一は桜の傷に触れる。
明らかに刀傷である傷に。