第16章 目覚めた太陽
その頃。
桜は夢を見ていた。
◌⑅◌┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈◌⑅◌
『ここは…………』
桜がいた場所。
そこは山奥の村だった。
パッと自分の体を見るとすごく薄い。
そして通り過ぎる村人もなにもないかのように通る。
そこで桜は自分のことが村人には見えていないということを知る。
『この村、不思議………………。』
そう。
この村は普通ではなかった。
村は花がたくさんで、また たくさんの蝶がいる。
そして村人達にはひとつの共通点があった。
『みんな髪が…………太陽の色…………。』
村人全員がオレンジの髪をしていた。
オレンジの髪を見てひとりの人物を思い出す。
『……一護………………。』
自分の想い人、一護を思い出す。
そして今、自分がこんなところにいる場合では
ないことも思い出した。
しかし帰ろうとするが方法がわからない。
とりあえず分かるまで村をウロウロすることにした。
ふと、桜は足をとめる。
『甘党屋……。』
甘い匂いに誘われお店に入る。
甘党屋にはお客さんは一人しかいなかった。
桜はその1人の人に目を奪われる。
『…………綺麗な人……………………。』
髪は村人と同じオレンジだが色白の肌にクリクリの
大きな瞳。
背はそんなに高くなく、今の自分と同じくらいの年だろうか。
女の人は いちご大福をおいしそうに食べている。
すると奥から店主のような人が来る。
店主「いやー、こりゃまた いちご大福が売れるねぇ。
アンタが店に来て食べたものはその日のうちにたくさんの男の客が買ってくからねぇ。」
「やだなぁ、偶然だって。」
微笑みながらそう返す女の人。
桜が店の外を見るとたくさんの男の人が
店の中を見ている。
いや、店の中じゃなくて女の人を見てる。
でもわかる気がする。
これほどの美人はめったにいない。
桜も なにかしら惹かれる部分はあった。
女の人の雰囲気だろうか。
すごく懐かしいような優しい雰囲気だった。