第8章 記憶なき花
?「.........じゃ俺そろそろ戻るな?」
そして保健室を出ていこうとする彼。
「............まって!」
?「ん?」
なぜか引き止めてしまった。
話したくてまだ。
しかし彼にこれ以上迷惑かけるわけにはいかない。
「.........ブレザー。」
と言って桜はブレザーを頭からとった。
保健室の窓があいており少し風が吹く。
その風に桜の綺麗な黄色の髪がなびく。
?「なっ...............。」
彼は驚いた。
彼女が綺麗で可愛くて。
まるで絵本の中に入ったかのような感情におちいった。
そして気づいた。
彼女は少し前 この高校の校門でこの高校をみつめていた少女だと。
あの綺麗すぎて見惚れてしまった少女だと。
「はい。ありがとね?」
?「........。」
動けなかった。
まさかこんな形でまた会えるなんて思ってもなかったから。
「...どしたの?」
全身が熱くなっていくのがわかった。
心臓がうるさくなるのがわかった。
?「やっぱここにいる。」
「.........え。」
?「人が苦手って言ってたけど俺は大丈夫って言っただろ?
だったら俺がおまえのそばに居なきゃな?」
「...やさしいんだね。」
こんなのはただの言い訳だった。
まだここにいたかった。
2人で。
?「まぁな。」
すると思いもよらない質問がとんでくる。
「ねぇ名前教えて?じゃないとなにかと不便だし...............」
嬉しかった。
向こうから名前を聞いてくれた。
?「そのまえにあんたの名前は?」
「私は水瀬 桜。
あなたは?」
水瀬 桜。
なぜかその名前は心の中で響いてて。
一「俺は黒崎 一護。よろしくな桜!」