第8章 記憶なき花
しかしいくらたっても桜の体が床に落ちることはなかった。
代わりに。
?「わりぃな。お前が終わったな。」
あの優しい声がした。
ドサッ。
だれかが床に落ちる音とともに。
そして桜をお姫様抱っこしたまんま
歩く。
?「......大丈夫か?来るの遅くなってごめんな?ケガねぇか?」
質問に桜は頷く。
?「そっかよかった...。もう少し早く来てればあんな思いしなくて済んだのにな。
わりぃ.........。」
その質問には桜は首を横にふる。
?「......ありがとな。
あ 保健室ここみてぇだな。」
保健室のベットに優しく桜を寝かせる。
動作のすべてが優しかった。
?「......ブレザーとるぞ?」
そして彼がブレザーに手をかけるが桜がブレザーを離さない。
?「...まぁいいや。ゆっくりしとけ。
あいにく誰もいねぇし。」
そして彼もベットに腰掛ける。
?「あんた新入生か?」
桜は頷く。
?「そっか俺と同じだな。俺もなんだよ。
...............よろしくな?」
これにも頷く。
すると困ったように............。
?「...喋れねぇのか?」
と聞かれこれには首を横に振る。
?「そっか...。まぁ喋りたくなければそのまんまでいいよ。」
ズキン...。
なぜか心がいたんだ。
「.........あ」
?「ん?」
「...あ......りがとね?」
喋れた。
彼だけだった。
すると彼は嬉しそうに
?「こっちこそありがとな?喋ってくれて。
見る限りあんた人が苦手だろ?
なのに喋ってくれて。」
桜は驚いた。
彼はわかっていた。
人が苦手ということを。
胸が熱くなった。
「............なんかあなたは大丈夫。」
?「俺は?」
「うん。なんだろうね安心する。」
?「そっか。まあ俺が助けたしな。
てか あんた喋ったほうがいいぜ?
せっかくそんな可愛い声してんだからよ。」
「ふふっ。ありがとう。」
?「いーえ。」
保健室に2人の話し声だけが響いた。