第2章 本編
次の日。
今日は海翔と海で遊んでる。
私は浜辺に座って、泳ぐ海翔を見ていた。
優雅に泳ぐ姿、水面に顔を出した時に日光に反射する水滴。
その全てが美しくて、私は海翔に釘付けだった。
海から上がってきた海翔に思わず
「いいなー!海翔、まるで人魚姫みたい!」
私は憧れの目で見たんだけど、海翔は思いっきり眉間にしわを入れた。
「誰・が・姫・だ・って!?」
そう言って海翔は、両手で私の頬を引っ張る。
「褒めたんだよー(汗)」
「姫」という言葉に対し海翔の「男子のプライド」が傷ついたみたい……。
「さーて、もうそろそろ帰ろうかなー」
私は海翔の攻撃から逃げるために、そう言ったんだけど……。
「あ〜っ!」
「ん?涼夏、どうしたの?」
「タオル持ってくるの忘れちゃった……」
「またか……。涼夏は本当に忘れんぼだな」
「仕方ないじゃん、忘れちゃうんだし。……でも、足濡れてると砂くっついちゃうから嫌だなぁ……。しょーがない、舗道まで走っていこう……」
「そーだ!」
海翔は何かを思いついたみたい……って、うわあっ!?
急に体が浮いたと思ったら、海翔にお姫様だっこされてた。
「えっ!? ちょっと海翔、降ろして!」
「嫌だ。俺が頼りがいのある男だってこと、涼夏がわかるまで絶対に降ろしてやんない。このままゆーっくり舗道まで歩いてやるからな!」
どくんっ……
へ?な、何!? この心臓の音……!
「海翔っ!わかったから降ろして!」
「嘘つけー!わかってないだろ!」
そう言って、海翔は無邪気に笑う。
その間にも、私の心臓の音は大きくなっていく。
音が大きすぎて、海翔にも伝わっちゃいそう……。