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人魚王子

第2章 本編


「悪かったな、オンチで!涼夏は上手に歌えていいよな」
……もしかして、崖の上で歌ってたの見られてた!?
「ん?……ってことは、歌は嫌いじゃないんだ?」
私が聞くと、海翔は小さく首を縦に振る。
「けど、オンチじゃしかたねーだろ」
「そんなことないよ!」
私は立ち上がって両手を広げる。
「そんなこと、気にしなくていいんだよ!だって、海の前なら点数つける人なんていないんだから!」
私の意見に賛同するように、背後で大きな波が立った。

海翔はしばらく黙っていたけど、
「……わかった」
と言ってまた歌い始めた。
私は隣で、音合わせを手伝った。

あっという間に太陽が赤く輝き始めた。
海翔は短い間でずいぶん上達した。
音感も、前より少しは良くなったと思う。

「今日はとっても楽しかった!ね、明日私のおじいちゃん家においでよ。聴かせたい曲があるの!」
私が誘うと、海翔は俯いた。
「……ごめん。人魚は長時間海から離れる事ができないんだ」
「また人魚キャラー?ま、いっか。明日もまたここに来るから。じゃあね!」

自称『人魚』の海翔は、なんか面白い男の子。
これからもっと仲良くなれるといいなぁ。
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