第2章 本編
私は、海翔の耳に届きますように―――
って、願いを込めて歌った。
私、海翔が初キスの相手で嬉しかった。
海翔はイヤだったかもだけどね。
だって私、海翔のことが好きなんだもん―――。
あぁ、そうか。
だからこんなにラブソングを歌いたくなるんだ……。
歌い終わったとき、気がついたら観客の一番後ろに海翔がいた。
海翔は顔の前で手をあわせ、申し訳なさそうな顔で
「ご・め・ん」
って。
唇の動きで伝わったよ。
「ありがとうございました!次の参加者さん、どうぞ!」
司会者に言われてはっと我にかえった私は、海翔のもとへ向かった。