第2章 本編
私は海翔に抱き抱えられて海面に出る。
「ふう、危機一髪だったな」
海翔はそう言って笑ったけど、私の頭の中はパニック状態だった。
あれも人魚の力?
でも、あれってキスだよね……!?
「涼夏、大丈夫か?」
海翔に顔を覗き込まれて頬が赤くなるのを感じた。
慌てて顔を逸らす。
海翔は私を助けるためにしてくれたんだから!
「あははっ、人命救助が私の初キスになっちゃった―――!」
恥ずかしいのをごまかすために、そう言って笑い飛ばしたんだけど……。
海翔は何も言わず、気難しい顔をしていた。
……あれ?怒ってる……?
「俺も初めてだったんだけど……。涼夏、またタオル忘れただろ?待ってて、持ってくるから」
海翔はおばあちゃんの家の方へ走っていった。
その態度はなんだかよそよそしくて……。
海翔……?もしかして、私とキスしたの嫌だったのかな……?って、そりゃそーだよっ!好きでもない子とキスなんて、普通嫌だよね!? しかも初キスだし!
数分後
海翔、遅いなぁ……。
やっぱキスしたの怒ってるんじゃ……。
いやいや、なにかあって遅れているのかも。
……事故に遭ってたらどうしよう!
ああああっ、不安で待っていられないっ!
探しにいってみよう!