第5章 嘘つき
翔ちゃんが廊下を歩いてくる音がして、、そして、突っ立てるだけの私を見つけた。
「姫菜!今帰るとこだった?」
翔ちゃんはにこりと笑いながら私に問いかけた。
笑わなきゃ笑わなきゃと、思いながらもさっきまでの事が頭から離れなくて切り替えれない。。
「ん?どした?姫菜?」
心配してる。。
ガチャと、リビングに繋がるドアが開くと、そこには彼がいて…
「あれ?にの?」
「翔ちゃんおかえり、彼女、指輪見つからなかったみたいよ?俺帰ってきた時からずっとこの調子なのよ。」
二宮さんは、困ったような顔をしてこちらを見て言った。
嘘つき、、。
「姫菜?そっか、見つかんなかったか…」
翔ちゃんは眉を下げながら私の頭をぽんぽんと撫でてくれた。
「…翔、ちゃん、」
私は自責の念に駆られて、言葉が上手く出ない…
「大丈夫、またプレゼントするしさ」
私はとんでもなくて、ブンブンと首を振った。
「…翔ちゃん…、探す…から、」
「はは、姫菜は強情だからなー、わかったじゃあもうちょい一緒に探してから考えような」
翔ちゃんはガシガシと頭を撫でると、にっこり笑顔を向けてくれた。
「…うん、ありがとう」