第5章 嘘つき
玄関の方で鍵を開ける音がして、、はっと我に返る。
翔ちゃんだ。
どうしよう、、どうしよう、、
慌てる私の腕を二宮さんが引っ張り、廊下へと追いやった。
「顔」
それだけ言うと、二宮さんはリビングへと向かい、私は廊下へぽつんと立たされた。
顔をパンっと叩いて、服を整えた。
ドクンドクンと心臓が鳴り、カバンをぎゅっと握った。
扉が開いたのはその直後だった。
玄関から廊下は直ぐに見えない造りになっていて、翔ちゃんが靴を脱いだ音がした。
「・・・あれ?姫菜かな?」
そう、自分の名前を呟いたのが聞こえたけれど、私の足は動かなくて、、動揺を隠せないままただ、佇んでいた。