第5章 嘘つき
私はとりあえず二宮さんに作って貰ったごはんに手を合わせて、一応二宮さんに
「頂きます…」
と、言うとまた穏やかな笑顔で召し上がれと言われた。
そうこうしてると翔ちゃんが
「俺風呂入ってくるね、姫菜ゆっくり食べとけよー」
と、言っていて二宮さんは湯船お湯入れといたよーと、翔ちゃんに言っていた。
翔ちゃんは「さすがにのっ!!」と、喜びながらお風呂へと向かった。
二宮さんは翔ちゃんがいなくなると私の向かいの席に座った。
「ど?口には合う?」
首を傾げている二宮さんに、
「美味しい、、です」
と言うと、満足そうに笑っていた。
さっきまでとは違う雰囲気に戸惑いながらも、目の前のすごくジューシーなハンバーグを食べる事に集中していた。
なんでこんな肉汁がジュワッと出てくるんだろう??私こんなに上手に作れない!!翔ちゃんの胃袋は二宮さんが握ってるんだ!!
と、考えていたら
「くふふ、んはははっ」
と、笑い声が聞こえてちらりと二宮さんを見ると口を抑えて笑っていた。
「え?…何かおかしいですか?」
「ふふ、百面相してたからさ、あなた全部顔に出ちゃうのね?」
「そんなこと…」
「翔ちゃんの胃袋は俺が握ってるよ」
「!!」
「くっ、んはは、わかり易すぎ!」
「…/////や、やめてくださいっ」
「ちなみに、そのままだと俺には勝てないよ?」
一瞬で色を帯びるその瞳に、心臓がドクンと脈打った。
突然目の前が暗くなったと思えば二宮さんの顔がすぐそこで、避けるより1歩先に唇を重ねられた。
「んっ!」
「…そろそろかな、じゃあごゆっくり」
二宮さんはそう言葉を残してリビングから出て行った。
ほぼ同時に逆側の扉からお風呂上がりの翔ちゃんが戻ってきて、タオルでわしゃわしゃと髪を拭いていた。
呆然とする私。
「あれ?にのは?」
「…あ、さっき部屋に戻っちゃったよ」
「そっか、にののハンバーグ美味かった?」
お皿はもう完食してしまっていて、私って欲に忠実過ぎるなと落ち込んだ。