第3章 心臓の音3
「高さ勝負のバレーボールでリベロは小っちぇえ選手が生き残る唯一のポジションなのかもしんねぇ。
けど俺はこの身長だからリベロやってるわけじゃねえ」
西谷先輩の言葉に孝ちゃんの眉間のシワが更に深まった気がした。
「スパイクが打てなくてもブロックができなくても
ボールが床に落ちさえしなければバレーボールは負けない。
そんでそれが一番できるのは“リベロ”だ」
その時の西谷先輩の顔は自信に満ち溢れていて、どれだけバレーボールが好きなのかが嫌でも伝わってきた。
あぁ、本気だ。
その時私は痛感した。
みんな本気でバレーボールやっていた。
中学のときだって、そうだ。
いつだって私は中途半端にしかできない。
中学のマネージャーだって週に4回行ければいい方だった。
本気でやってる人たちのところに中途半端に入り込むのが一番いけないことだってわかってたのに。
『……』
もっと頑張らなきゃ。
いろんなこと、頑張らなきゃ。