第3章 心臓の音3
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「まな帰るぞー」
『ま、待って孝ちゃん』
今日は制服のままだった私に
女子の更衣室を清子先輩に教えてもらって
明日からはここでジャージに着替えて部活に来るように教えてもらった。
更衣室から出ると孝ちゃんが
体育館の前で待っていた。
『あ、あれみんなは?』
「まなが遅いから帰っちゃったよ」
孝ちゃんは悪戯っぽい笑みでそう言った。
孝ちゃんだけ待っててくれたんだ…
学校から少し歩いたところにある
駐輪場から二人乗りで帰った。
孝ちゃん、部活終わって疲れてるはずなのに二人乗りなんかして大丈夫かな?
『孝ちゃんあたし明日から1人で学校行けるよ?』
「ん?急にどうした」
信号に引っかかったところで孝ちゃんの背中に向かって声をかけた。
孝ちゃんは顔を半分だけ後ろに向けて返事をした。
『いや…1人で…なんでもできるようにならないと…』
「ははっ、どうせ俺の心配してくれたんだろ?そんな心配しなくていいからな」
『わっ』
青信号になったらしく、
そのまま自転車が前進し始めて、
思わず孝ちゃんの肩に捕まった。
孝ちゃんには全部お見通しなのかなーーーー?
昔から何かあったら孝ちゃんが助けてくれた。
いじめっ子の男の子にからかわれた時も
女の子の友達からハブられた時も
いつもあたしの隣には孝ちゃんがいてくれた。
かけがえのない家族のような存在の孝ちゃん。
でも
孝ちゃんがあたしの考えてることわかるように
あたしだって孝ちゃんが考えてること、
わかるんだよーーーーーーー…