第3章 心臓の音3
体育館中に鳴り響いた痛そうな音。
『……?』
いつまでたっても襲ってこない痛みに
ゆっくりと目を開けると目の前には金と黒。
「…あっぶねぇ…」
「西谷ナイス!」
「す、すいません!あざっす!」
目の前には西谷先輩がいて、
どうやら西谷先輩が影山くんのサーブを弾いてくれたみたいだった。
それにしてもあんな速いボールに
追いつくなんて…すごい…
『あ、あの、ありがとうございました』
お礼をして顔を上げると
西谷先輩はニッと悪戯っぽい笑みを浮かべた。
「なんてことねぇよ!気をつけろよ!」
それから私の肩をぽんっと叩くと
そのままレシーブを始めた。
っていうか
あたしがこんなコートから近いところを歩いていたからいけないんだよね!
もっと端っこを通らなきゃ!
私はさっきよりもっと遠回りをして
倉庫に行って清子先輩に頼まれていた書類を渡した。
「まなちゃんごめんね…大丈夫だった?」
『は、はひ!に、西谷先輩が弾いてくれてたみたいで!』
「ふふっ…そうね…戻ってきてくれればいいんだけどなぁ…」
『…?』
清子先輩がどこか遠くを見つめたように
寂しそうにつぶやいた。
なんか
西谷先輩怒鳴り声あげていたし、
なんか部活内で問題でもあったのかな…?
あの“旭さん”っていうのも誰なのかわからないし…